キャリア支援の仕事を10年以上してきて、私が毎年、必ず聞く言葉があります。
そしてこの悩みは、年々増えています。
「本当にやりたいことが分からなくて、不安です」
この言葉は、就活を始めたばかりの人からも、ある程度選考が進んできた人からも本当によく聞きます。まず最初に、これだけは伝えさせてください。
その悩み自体が、決しておかしなものではありません。
むしろそれは、自分のキャリアと真剣に向き合おうとしている証拠だと、私は思っています。
でも、やっぱりそのことで色々と不安になってしまって、本来やるべきことができなくなってしまう・・・そんな状況が起きているのであれば、社会人の先輩として何とかしたいと思いました。この記事が少しでもみなさんが一歩前に進めるきっかけになったら嬉しいです。大丈夫です、心配しすぎる必要はありません。
目次
「やりたいことを決めてから動かなきゃ」という思い込み
最近、キャリア教育が少しずつ広まってきました。それ自体は、とても良いことだと思っています。
ただ一方で、
「やりたいことやビジョンを明確にしてから就活しないと後悔する」
「自己分析をしっかりやって、軸を決めてから動くべき」
こうした言葉だけが一人歩きし、正しい理解がないまま、就活生を必要以上に不安にさせてしまっているようにも感じます。
その結果、こんな状態に陥る人がとても多い。
- 志望業界や企業を絞れず、就活に自信を持てない
- 将来の不安ばかり考えてしまい、行動に踏み出せない
正直に言うと、これは本当にもったいないと。
実は、「本当にやりたいこと」が分かっている人はほとんどいない
ここで、ひとつ大事な事実をお伝えします。
「本当にやりたいことが分かっている人は、実はごくわずかです」
これは、学生に限った話ではありません。社会で活躍している人たちも同じです。
正直に言うと、私自身も、自分が本当にやりたいことが分かったのは45歳になってからでした。
なぜか。それは、「やりたいこと」というのは、
- 世の中のこと
- 仕事のリアル
- 自分の好きや得意
これらを経験を通して理解していかないと分からないものだからです。
だから、学生の段階で「やりたいことが分からない」のは当たり前。
心配する必要なんて、まったくありません。
理想論と、今どう動くかは分けて考えよう
それでも、
自己分析をして
やりたいことを見つけて
軸を定めてから動きなさい
そんな言葉を聞くと、
見つかっていない自分がダメな気がして、不安になりますよね。
でも、ここははっきりお伝えしたいです。
理想論と、現実的にどう動くかは、分けて考えた方がいいんです。
だからここからは、自己分析をがんばっても
「本当にやりたいことが分からない」まま悩んでいる人に向けて
「じゃあ、何をしたらいいのか」を具体的にお伝えします。
やりたいことが分からない人が、まずやるべきこと
①本当にやりたいことは分からない前提で、とにかく動く
まず大前提として、
本当にやりたいことは、今は分からなくてOKです。
その上で、こう動いてみてください。
- 少しでも気になった業界や企業を調べる
- 10〜15社ほどエントリーする
- 説明会、オープンカンパニー、インターンに参加する
- 選考に応募する
- 選考中は「この会社が第一志望」のつもりで本気で臨む
- 複数の内定を持ってから、初めて「どこに行くか」を悩む
そして、ここでみんなが陥りがちなこと。
内定が出る前から悩みすぎです。
内定をもらう前から「本当にこの会社でいいのかな…」と悩んでしまうと、どうしても歯切れが悪くなり、面接で本領発揮できなくなってしまいます。
中は、その会社から合格をもらうことに集中する。
本当にそこに行くかどうかは、内定をもらってから考えればいいんですね。
② それでも不安なら、「名詞」ではなく「動詞」で自己分析する
それでも、
それなりに自己分析はしたい
業界や企業をある程度絞りたい
その方が選考もうまくいきそう
そう思うのは、とても自然なことです。
そこでおすすめしたいのが、
自分の好き・得意を「名詞」ではなく「動詞」で捉えるという考え方です。
「やりたいこと」を考えようとすると、多くの人がまず思い浮かべるのは、
仕事の名前や業界の名前です。
- マーケティング
- 教育
- エンタメ
- コンサル
これらの言葉を軸に、就活やキャリアを考え続けると、どんな状態になりやすいでしょうか。
「名詞」で考えると、キャリアは行き詰まりやすい
これらはすべて「名詞」です。
一見すると具体的ですが、名詞で考えると、選択肢が一気に狭くなります。
その業界に入れなかったら終わり
その職種じゃなかったら意味がない
知らず知らずのうちに、思考が固定されてしまうのです。
じゃあ、どう考え直せばいいのか。
そのヒントは、どこにあるのか。
私自身も、昔は同じところで立ち止まっていました。
そんなときに出会って、「あ、この捉え方なら前に進めるかもしれない」と感じた考え方があります。
森岡毅さんの「動詞で考える」という視点
ここで紹介したいのが、
私が尊敬している 森岡毅 さんの考え方です。
▼参考にしている動画
https://www.youtube.com/watch?v=nRzl3sJM3X0
(開始後15分ごろからの話を特に参考にしています)
森岡さんは、キャリアを考えるうえでこんなことを語っています。好きなことは、名詞ではなく動詞で捉えることが重要だ
たとえば、
マーケティングが好き
→ 人の心を動かす仕組みを考えるのが好き
教育が好き
→ 人の成長を支援し、変化を生み出すことが好き
エンタメが好き
→ 人をワクワクさせ、感情を動かす体験をつくるのが好き
ここに出てくるのは、
考える
支援する
仕組みをつくる
変化を起こす
感情を動かす
といった「動詞」です。
人が本当にエネルギーを発揮するのは、職業名ではなく、この動詞の部分なのです。
動詞で考えると、キャリアの選択肢は一気に広がる
たとえば、
人の行動を変える仕組みを考えるのが好きという動詞が見えてくると、
- メーカーの企画職
- ITサービスのプロダクト開発
- 人事、採用
- 営業企画
- 教育、研修設計
など、
業界や職種を越えて共通点が見えてきます。
これはつまり、
「この会社じゃなきゃダメ」
「この職種に就けなかったら終わり」
という不安から、少しずつ解放されるということでもあります。
キャリアは「肩書き」ではなく「行為の積み重ね」
この考え方の本質は、ここにあります。
キャリアは、肩書きではなく、自分が何度も繰り返してきた行為(動詞)の延長線上にある。
- 何を考えているときが楽しいのか
- どんな瞬間に時間を忘れて没頭しているのか
- どんな役割を任されると力が出るのか
これらを動詞レベルで言語化できたとき、
キャリアは「探すもの」から「育てていくもの」に変わっていきます。
もし、「一人で考えるのが難しい」と感じたら
ここまで読んで、
大切さは分かった
でも、自分のこととなると難しい
これで合っているのか、まだ自信が持てない
そんなふうに感じた方もいるかもしれません。
自分の強みや価値は、意外と自分では見えにくいものだからです。
人の「強み」を言語化するプロとして、できること
私はこれまで、学生から社会人まで、数多くの方のキャリア支援に携わってきました。
- やりたいことが分からず、就活が止まってしまっている学生
- 自己分析をがんばったのに、どれもしっくり来ない人
- 強みはあると言われるけれど、仕事とどう結びつければいいか分からない人
そんな方々と、何百回もの対話を重ねてきました。
私は、ストレングス(人の強み)を専門に扱うコーチとして、
一人ひとりの思考や行動のクセ、
エネルギーの出どころを丁寧に整理しながら、
- どんな行為に力が宿るのか
- どんな役割で価値を発揮しやすいのか
- どんな仕事の選び方をすると後悔しにくいのか
を、一緒に言葉にする支援を続けています。
面談で大切にしていること
私の面談では、
無理に「やりたいこと」を決めさせることはしません。
それよりも、
- これまで自然とやってきた行動
- 周囲から任されてきた役割
- なぜか苦にならなかった経験
こうした事実を丁寧に拾い上げ、あなた自身も納得できる形で「動詞」に変換していくことを大切にしています。
やりたいことが分からないあなたへ、最後に
やりたいことが分からないのは、あなたに軸がないからではありません。
まだ、経験が足りていないだけです。
今は完璧に分からなくていい。
迷いながら、動きながら、少しずつ見えてくるそのくらいの感覚で、大丈夫です。
もし今、
一人で考え続けて少ししんどくなっているなら、
誰かと一緒に整理するのも立派な選択です。
あなたの中にある強みは、
必ず、仕事につながる形で活かせます。
そのお手伝いができたら、嬉しいです。


